探していた色、形、光。その全てを目の前にしながら最高の深呼吸を。

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Paul Klee(パウル・クレー)
彼はスイスを代表する画家。その成功の証に、このパウル・クレー・センターでは彼の信念や、教育観念が素晴らしい結果となって造り上げられている。

Johannes Itten(ヨハネス・イッテン)
ドイツで生まれ、スイスで活躍した造形作家。彼もまた美術教育の研究に取り組み、その生涯を未来のアーティストのために捧げた人物の一人である。

この2人はワイマール時代のバウハウス美術学校の教授だったのだ。
俺はスイスに来たときからヨハネス・イッテンの作品を探していたんだけど、美術館に行っても見かけることはなく、諦めかけていた。そんな時、ベルンに新しくこのパウルクレーセンターができ、俺は望みを持って足を運んだってわけだ。
展示してある作品はパウルクレーのものだけだったが、その教育的視線で描いた作品は、やっぱり同じ教壇に立っていただけあって同じ匂いを感じることができた。
そのカラーコンポジションを研究し尽くした色の操り方は、2人とも現代美術の創設者のように思えてくるくらいだ。この2人がいた学校に通っていた生徒達が羨ましい限りである。

「教育とはヒトツの冒険的事業」

そんな言葉も残しているが、彼等が最も重視していた信念は「人間尊重」
どこまでも文化人らしく。そしてどこまでも知識人らしく。
想像を浄化し、澄みきった色、無駄のない呼吸で。

パウル・クレーの作品は最も詩的な題名ってことで有名なんだけど、
確かにその感性に触れてみると、その意味の深さ、明るさに、思わず気持ちが和む。
そして雑念は浄化され、そこには澄みきった自分だけが残っていくようだった。

「It's dawning」

そう、何も恐れることはないのだから。

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セミナールームの前には自由に本を見ることの出切るスペースがある。
彼等が研究したカラーコンポジションの資料を見たり、パウルクレーの作品をストーリー形式にした日本語の本などもある。

最後に。パウルクレー、ヨハネスイッテンの作品は、日本人にとっては入り込みやすい作品だと思う。
日本人が無意識に求めてしまうミニマムアートとまではいかないが、充分に無駄のないアートだと思う。

そして俺が好きな絵は「Still life on leap day」 。  だから溜息ではなく、深呼吸を・・・。